徹底分析シリーズ レミマゾラム
レミマゾラム投与時の脳波—わかってきたことと 知りたいこと
坪川 恒久
1
Tsunehisa TSUBOKAWA
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.614-619
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202005
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レミマゾラムベシル酸塩(以下,レミマゾラム)はベンゾジアゼピン系薬物の一つであり,さまざまな効果は共通していると考えられている。ベンゾジアゼピン受容体に結合しGABA体の作用を強めることで細胞内のクロールイオン(Cl-)濃度を高め,神経細胞を過分極させて作用を発現させている。ベンゾジアゼピン系薬物は古くから使われており,1950年代にレオ・スターンバックがクロロジアゼポキシドを発見し,1960年に抗不安薬としてロシュ社から発売されている。ロシュ社はその後もこの系統の薬物を次々と発売し,世界的大企業となった。ベンゾジアゼピン系薬物は短期間の投与であれば有効な鎮静・抗不安作用を示すが,長期間の投与では耐性,依存性,離脱症状,せん妄を呈することが知られ,一時は社会問題となった。ベンゾジアゼピン系薬物は代謝が遅く蓄積性があり,これまで高用量で用いられることはなかったが,超短時間作用性であるレミマゾラムの登場で,従来とは異なった投与・使用方法が可能となった。
本稿では,レミマゾラムが脳波に与える影響について解説し,今後解決されるべき課題を提案する。
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