徹底分析シリーズ 末梢ルートトラブル—点滴漏れと薬剤性静脈炎
点滴漏れを早期発見するためのポイント—挿入に成功したからといって,満足していてはいけない
竹下 淳
1
Jun TAKESHITA
1
1大阪母子医療センター 麻酔科
pp.56-59
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201877
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末梢静脈ルートは周術期管理に必須であり,挿入手技に精通するのは麻酔科医としては当然である。通常は視認や触知で静脈を確認して穿刺するが,時に難渋して複数回の穿刺が必要となったり,超音波装置などのデバイスを使用せざるを得ないこともある。挿入時に明らかに失敗すれば,出血のために穿刺部位が腫脹し,誰の目にもわかりやすい。しかし,カテーテルを挿入できても,術中や術後の経過中に血管外に逸脱する場合もある。カテーテルが血管外に逸脱していれば,必要な薬物が投与されないという不都合だけではなく,刺入部付近の潰瘍,壊死などが起こる可能性もある1)。麻酔科医はこの末梢静脈カテーテルの開通性を意識し,常に疑いの目をもってかからなければならない。
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