新説 浮世鑑
恐るべし,“リアルの欠如”
石黒 達昌
pp.881
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201756
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これまでも何回か書いたことなのですが,私は以前,文部科学省に専門職として勤務していたことがあります。官僚と呼ばれる人たちと接して今でも思うのは,「内向き」な官僚の本質はいつの時代も変わらないということです。もちろん,かつては厳格な縦割り行政だったのが,省庁間での課長交流も行われたりして,それなりに改革も進んではいるようですが,仕事がほぼ完全に内部で完結している点に変化はないように思われます。職務は大学視察を除くと,ほとんどがメールや電話の問い合わせで済みますし,予算関係で訪れる他省庁もごく近所,一番の遠出が国会といった感じで,霞が関周辺ですべてが完結してしまいます。閉ざされた空間から法案や通達が生み出され,それを受けて末端の施設が具体的なオペレーションを行う……下々の現状についての視察が行われることはあっても,それはあくまで「視察」にすぎません。要するに世間に疎いのです。
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