症例カンファレンス
睡眠薬依存症患者の婦人科手術
柿沼 玲史
1
,
松本 俊彦
2
,
栗田 真佐子
3
,
松崎 孝
3
,
森松 博史
3
,
中澤 健二
4
,
小林 祐美
5
Toshihiko MATSUMOTO
2
,
Masako KURITA
3
,
Takashi MATSUZAKI
3
,
Hiroshi MORIMATSU
3
,
Kenji NAKAZAWA
4
,
Yumi KOBAYASHI
5
1帝京大学医学部 麻酔科学講座
2国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部
3岡山大学病院 麻酔科蘇生科
4中通総合病院 麻酔科
5秋田県立リハビリテーション・精神医療センター 精神科
pp.673-688
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201709
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薬物依存患者は,「なじみの薄い」分野の一つだろう。しかし,社会情勢を反映しているのか,日本人成人の20人に1人が睡眠薬を服用している1)。不眠や不安から比較的気軽に内服を始め,長期内服によって依存症に至ってしまう例が多いという。睡眠薬および抗不安薬は,覚醒剤に次いで2番目に多い依存の原因薬物であり,増加傾向である。しかも睡眠薬は比較的気軽に処方されやすく,また他施設の処方について情報共有が乏しいため,複数施設の受診による重複処方で,容易に大量入手できてしまう現状があり,精神科だけでなく全領域の診療科に注意が促されている。このような社会背景から,睡眠薬依存症を合併した緊急症例に対応せざるを得ない状況は常に生じ得るが,対応については施設ごとに大きな幅があるだろう。今回の症例カンファレンスで,良好な予後に向けた注目点について考えてみたい。
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