Japanese
English
特集 薬物と睡眠をめぐって
薬物依存と睡眠
Drug Dependence and Sleep
菱川 泰夫
1
,
手島 愛雄
2
Yasuo Hishikawa
1
,
Yoshio Teshima
2
1大阪大学医学部精神医学教室
2吉村病院
1Dept. of Neuropsychiatry, Osaka University Medical School
2Yoshimura Hospital
pp.189-196
発行日 1983年2月15日
Published Date 1983/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203544
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I.はじめに
薬物には,不眠やさまざまな精神的あるいは身体的な苦痛を和らげて,その結果として快感をもたらす作用を有するものや,直接的に快感をひき起こす作用を有するものがある。しかし,それらの薬物効果は,通常は一過性にすぎないために,薬物の効果が消失すると,不眠や苦痛が再び出現したり,快感が消失してしまう。そこで不眠や苦痛から逃れることを繰り返して求めたり,快感を求める目的で薬物を繰り返し使用し,その結果として,習慣的に,あるいは長期間にわたって,薬物を連日にわたって反復摂取する状態が薬物依存である。
薬物依存を起こす原因物質にはさまざまなものがあり,それらは,モルヒネ型,アルコール・バルビツレート型,アンフェタミン型,コカイン型,大麻型,LSD型,有機溶剤型に大別されている。以下においては,それらの依存性薬物のうちから,アルコール・バルビツレート型に属していて,不眠を改善する目的で一般によく用いられている睡眠薬とアルコールに対する依存が生じる要因について,特に睡眠に関係する点に重点をおいて述べることにする。また,ナルコレプシーやうつ病の治療に用いられている三環系抗うつ剤が睡眠に及ぼす問題点についても言及する。
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