温故知鍼灸〜目に見えない世界を覗く〜
1 中医学と経絡
郷家 明子
1
1明クリニック
pp.480-481
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201659
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鍼灸との出会い
幼いころ風邪をひくと,自宅近くの鍼灸院に連れて行かれ,目の見えないおじいちゃん鍼灸師にお灸をすえてもらっていました。糸状に艾を細く捻り,1cmほどの長さに切ります。皮膚の上にあるツボという場所を湿らせたあと,艾の先端をツボに置きます。艾のもう一方の端にお線香の火をつけると,火が艾に燃え移り,ツボまで降りてきます。火が付いた艾が皮膚に触れた瞬間のピリッと痛熱い感覚には耐えなくてはなりませんが,その後体がポカポカして,汗をかいて風邪が治ることが多いのです。
皮膚の上にあるツボというものに刺激を与えると,何らかの力が働いて身体の中が変化することを,子供ながらに理解し,体感していました。のちに,それが身体のなかの「気」を動かしていると知ると,目には見えない気というものに興味をもつようになりました。鍼灸で家人の病気が治るのを目の当たりにしたこともあり,いつか鍼灸治療をやってみたいと思うようになりました。医師の道へ進み,循環器内科医として働いていた10年目に,中医学を学ぶため台湾へ留学しました。
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