臨床経験
AMHからみた卵巣チョコレート嚢胞の新たな治療戦略
桜井 明弘
1
,
郷家 明子
,
佐野 麻利子
,
相澤 知美
,
國井 優衣子
,
杉山 真理子
,
桜井 加那子
1産婦人科クリニックさくら
キーワード:
多嚢胞性卵巣症候群
,
治療成績
,
年齢因子
,
Anti-Mullerian Hormone
,
子宮内膜嚢胞
,
卵巣予備能
Keyword:
Age Factors
,
Polycystic Ovary Syndrome
,
Treatment Outcome
,
Anti-Mullerian Hormone
,
Ovarian Reserve
pp.93-100
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00535.2016221203
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2010年2月~2014年8月の間に血清抗ミュラー管ホルモン(AMH)を測定した983名のうち、ホルモン基礎分泌値と超音波検査を施行した934名中844名を対象に、これらをチョコレート嚢胞(EC)を有さない689名(A群)とECを有する109名(B群)、ECの手術既往がある45名(C群)に分類した。その結果、1)844名の年齢とAMH値は緩やかな負の相関を示した。平均年齢はB群がA群とC群に比して有意に低く、AMH値はC群がA群とB群に比して有意に低かった。A群とB群ではAMH値に有意差は認めず、各群の年齢別AMH値はいずれも年齢と緩やかな負の相関を示していた。2)AMH値が1ng/ml未満では妊娠・生産率が著しく低く、AMH値や年齢を考慮した卵巣刺激法の選択を取り入れてからは治療成績は向上した。3)ECの存在はAMHから評価した卵巣予備能を低下させる可能性があり、手術療法により更にAMHは低下していた。4)手術による不可逆的な卵巣予備能の低下は患者に知らせるべきであり、術前に受精卵/卵子凍結などを行うなど治療戦略の見直しも検討すべきと考えられた。
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