症例カンファレンス
抗血小板療法中透析患者のY-graft置換術
山本 俊介
1
,
中澤 春政
2
,
杉本 健三郎
3
,
末盛 智彦
3
,
高橋 葉子
4
,
藍 公明
4
Harumasa NAKAZAWA
2
,
Kenzaburo SUGIMOTO
3
,
Tomohiko SUEMORI
3
,
Yoko TAKAHASHI
4
,
Kimiaki AI
4
1大分大学医学部 麻酔科学講座
2杏林大学医学部 麻酔科学教室
3自治医科大学 麻酔科
4竹田綜合病院 麻酔科
pp.841-857
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201460
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超高齢化社会を迎えた日本では,手術療法を選択する高齢患者も増加しており,高齢者の心臓血管外科手術もまれではなくなった。患者背景としては,すでに循環器系の合併症を有する人や,脳神経障害,腎機能障害を合併する人も多い。今回,冠動脈狭窄に対し経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行った既往をもち,さらに慢性腎不全に対し維持透析施行中の患者で,腹部大動脈瘤に対するY-graft置換術を行う際の麻酔方法を考察した。侵襲の大きい本手術では,術後の鎮痛と早期リハビリテーション,早期回復を目的として,全身麻酔に硬膜外麻酔を併用することが一般的であるが,抗血小板・抗凝固療法を伴う場合は,硬膜外血腫の発生を考慮し意見の分かれるところである。また最近では,超音波装置を用いた末梢神経ブロックも普及しており,麻酔方法の選択は一様ではない。患者背景のみならず,施設背景や麻酔科医の経験に合わせた麻酔方法が選択されるべきであり,より良好な周術期管理方法は何か,誌上議論してみたい。
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