徹底分析シリーズ ステントグラフト治療最前線
経皮的心肺補助を使用した完全脳分離送血法併用のZone 0 TEVAR—手技が複雑な胸部ステントグラフト留置術の麻酔管理
宮田 和人
1
,
重松 明香
1
,
宮山 直樹
1,2
Kazuto MIYATA
1
,
Sayaka SHIGEMATSU
1
,
Naoki MIYAYAMA
1,2
1ニューハート・ワタナベ国際病院 麻酔科
2東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.974-977
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201208
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上行〜弓部大動脈瘤に対する人工血管置換術(open surgery,OS)は現在も治療のゴールドスタンダードではあるが,高齢者や合併症をもつ患者では死亡率,合併症発生率はいまだ高い1)。そこで近年,高リスク患者では低侵襲手術であるthoracic endovascular aneurysm repair(TEVAR)が選択されることが多い2)。しかし通常ステントグラフト(SG)を上行大動脈から留置する場合は,非解剖学的頸部バイパスや,チムニー法による小口径SG留置を併施する必要がある。さらに当院では,脳塞栓症を避けるために,経皮的心肺補助(PCPS)下に頸部バイパスを送血ルートとして脳分離循環を行うこともある。ただし,この術式はまだ広まっておらず,手技も複雑で,種々の麻酔管理上のピットフォールが存在する。
前稿の術式解説を踏まえ,本稿では麻酔管理上の要点を手術の進行に従ってまとめる。
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