徹底分析シリーズ ステントグラフト治療最前線
経皮的心肺補助を使用した完全脳分離送血法併用のZone 0 TEVAR—弓部大動脈瘤へのTEVARにおける工夫
大竹 裕志
1
,
眞田 順一郎
2
Hiroshi OHTAKE
1
,
Junichiro SANADA
2
1ニューハート・ワタナベ国際病院 血管外科
2ニューハート・ワタナベ国際病院 放射線科
pp.970-973
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201207
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腹部大動脈瘤 abdominal aortic aneurysm(AAA),胸部下行大動脈瘤から始まったステントグラフト(SG)内挿術は,近年その適応が拡大傾向にある。疾患としては,動脈硬化性の真性瘤のみならず大動脈解離に対する治療が行われるようになった。解剖学的には,弓部大動脈瘤,胸腹部大動脈瘤thoracoabdominal aortic aneurysm(TAAA)も治療の対象となってきている。
大動脈瘤を内側から補強するという発想は斬新で,われわれ血管外科医にとっても未知の領域であった。このため,適応が拡大するにつれ,SG内挿術特有の合併症もまた報告されるようになった。なかでも,さまざまなデバイスが大動脈の中を通過することによって生じる術中の塞栓症は,全身麻酔下の手術では発見も遅くなり,発症後の治療も有効なものは少ない。
本稿では,解剖学的にthoracic endovascular aneurysm repair(TEVAR)が困難といわれている弓部大動脈瘤に対する当施設での塞栓症予防に対する取り組みについて,症例を通して紹介するとともに,今後の展望についても言及したい。
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