徹底分析シリーズ 日本版 敗血症診療ガイドライン2016—診療ガイドラインをどのように臨床に用いるか
敗血症性ショックに対する低用量ステロイド治療—ショックの離脱目的に早期投与が効果的
今泉 均
1
Hitoshi IMAIZUMI
1
1東京医科大学 麻酔科学分野・集中治療部
キーワード:
敗血症性ショック
,
重症関連コルチコステロイド障害
,
低用量ステロイド
,
ショック離脱
,
死亡率
,
ショック防止効果
Keyword:
敗血症性ショック
,
重症関連コルチコステロイド障害
,
低用量ステロイド
,
ショック離脱
,
死亡率
,
ショック防止効果
pp.308-311
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201077
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初期輸液やカテコールアミンに不応性の敗血症性ショック患者の死亡率は高い。生理的ステロイドであるコルチゾールは,生体に侵襲が加わった際に分泌され,免疫,代謝など生体の恒常性維持に重要な役割を担う。一方,コルチゾール分泌不全患者はショックに陥ることから,ステロイドはショックに対する補助治療として用いられてきた。1940年代には敗血症性ショックに対する高用量ステロイド投与が治療の救世主として脚光を浴びたが,1987年,Boneらの無作為化比較試験(RCT)1)により,敗血症性ショックに対する高用量ステロイドの有効性は否定され,さらに副作用の増加から予後を悪化させる可能性が指摘されて推奨されなくなった。2000年以降は高用量ステロイドに代わり,低用量ステロイド投与が行われるようになった。
本稿では,敗血症性ショックの病態におけるステロイドの動態とステロイドが奏効する機序,2004年以降の敗血症性ショックに対する低用量ステロイド治療のRCTの検討結果2)から,低用量ステロイドの効果とステロイド投与開始時期,投与量と投与期間,投与するステロイドの種類,ならびにショック移行防止効果の有無について概説する。
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