徹底分析シリーズ 日本版 敗血症診療ガイドライン2016—診療ガイドラインをどのように臨床に用いるか
輸血療法—敗血症診療でも,厚生労働省の『血液製剤の使用指針』にのっとった輸血療法を
松嶋 麻子
1
Asako MATSUSHIMA
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科 先進急性期医療学
pp.312-315
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201078
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血液製剤は,血液成分製剤(赤血球液,新鮮凍結血漿,血小板濃厚液)と血漿分画製剤(アルブミン製剤,免疫グロブリン製剤,アンチトロンビン製剤など)に分類される。そのうち,血液成分製剤と血漿分画製剤のアルブミン製剤については,献血による限られた医療資源を用いるという観点と,ヒトの血液を投与することによるアレルギー反応や未知の感染症などの副作用という観点から,日本では厚生労働省の『血液製剤の使用指針』(厚労省指針)1)で投与基準が定められ,日常の保険診療においてもこの指針に沿った輸血療法を行うことが求められている(臨床メモ)。この厚労省指針は英国や米国の輸血ガイドラインを参考に作成されているが,これらのガイドラインが敗血症患者に対しても妥当な基準を示しているかの検証は十分に行われておらず,日本では,敗血症による凝固障害や低アルブミン血症に積極的に血液製剤を投与するという考えもある。このような背景を踏まえ,日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)20162)では,血液成分製剤を対象に,敗血症患者における輸血療法の検討を行った*1。
本稿では,「輸血療法」で取り上げた三つのclinical question(CQ)についてガイドラインの本文に沿って解説する。
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