症例カンファレンス
血小板減少妊婦の帝王切開
田中 基
1
,
松田 千栄
2
,
大瀧 千代
2
,
岡田 尚子
3
,
中川 元文
4
Chie MATSUDA
2
,
Chiyo OTAKI
2
,
OKADA,Hisako
3
,
Motonori NAKAGAWA
4
1埼玉医科大学総合医療センター 産科麻酔科
2大阪大学大学院医学系研究科生体統御医学講座 麻酔集中治療医学教室
3順天堂大学医学部附属練馬病院 麻酔科・ペインクリニック
4母子愛育会 愛育病院 麻酔科
pp.255-270
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201068
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従来,血小板数が10万/μLを下回る場合の脊髄幹麻酔neuraxial anesthesiaは,脊柱管内血腫のリスクを避けるために行うべきではないと考えられていたが,近年はその値が下げられる傾向にある。いくつかのガイドラインでは,8万/μLという数字が挙げられている。特に妊産婦では,誤嚥・挿管困難・気管挿管時の低酸素血症といった全身麻酔のリスクが高いため,麻酔科医はなるべく全身麻酔を避け,脊髄幹麻酔を行おうとする傾向が強い。また,脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔では,脊柱管内血腫のリスクは異なると考える麻酔科医も多い。
一方で,最近ではビデオ喉頭鏡などの気管挿管デバイスの進化により,帝王切開の麻酔でも全身麻酔を容認する考えも出てきている。
本症例はガイドライン推奨の8万/μLを下回る血小板数ではあるが,全身麻酔のリスクもあり,麻酔管理に悩む症例ではある。正解はないのであろうが,各エキスパートの意見を拝聴しつつ,われわれの管理方法についても紹介したい。
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