今月の臨床 帝王切開
帝王切開の変遷
2.帝王切開は減少できるか
武田 佳彦
1
Yoshihiko Takeda
1
1東京女子医科大学産婦人科,母子総合医療センター
pp.642-644
発行日 1992年6月10日
Published Date 1992/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900874
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帝王切開術は元来もっともradicalな急遂分娩法で胎児,母体の救急処置の適応である。母体の開腹手術を伴うために,更に産道を介して感染の危険性も高く,抗生物質が普及する以前は術式を含めて極めて慎重な適応決定が行われた。
しかし最近では感染の制御が比較的容易になったことから胎児救急の適応が拡大し,また超未熟児などが予測される分娩に際して児の安全のために帝王切開の頻度が増加し,5%以下であった頻度が最近では10%を越え,施設によっては20%に達することも少なくない。しかし,帝王切開分娩では母体に対するリスクは高く,母体死亡率はオーストラリアで自然経腟分娩の20倍,ベルリン自由大学のSaling教授は10倍の高率を報告している。しかも,子宮切開の瘢痕のために次回分娩時に子宮破裂の危険性が高く,一時期“once c/s,always c/s”と格言化されるような後遺症を残している。
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