症例検討 まれだが怖い 手術・麻酔合併症
β刺激薬投与に伴い心室性不整脈が連発—知って,想定して,疑ってほしい
早坂 朋彦
1
,
林 行雄
1
Tomohiko HAYASAKA
1
,
Yukio HAYASHI
1
1桜橋渡辺病院 麻酔科
pp.712-715
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200629
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症例
45歳の女性。身長162cm,体重53kg。左自然気胸に対する胸腔鏡下ブラ切除術が予定された。術前に特記すべきことはない。全身麻酔を導入し,胸腔内の操作中に血圧低下がみられたため,エフェドリン4mgにて昇圧を試みたが,心室性不整脈が多発した。再度エフェドリンを投与したが,今度は一過性の心室頻拍(VT)が生じた。血圧低下が遷延したため,フェニレフリン0.1mg投与および容量負荷にて血圧の改善がみられた。手術は問題なく終了した。術後,循環器内科医による精査の結果,不整脈原性右室心筋症arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy(ARVC)と診断された。
Copyright © 2016, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.