特集 不整脈
3.抗不整脈薬の薬理
(4)β遮断薬―まずβ作動薬の作用を理解しよう
林 行雄
1
,
溝渕 敦子
1
Yukio HAYASHI
1
,
Atsuko MIZOBUCHI
1
1大阪大学医学部附属病院 麻酔科
pp.727-733
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100151
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β遮断薬は文字通り“遮断薬”であり,その対象がβ受容体であることは“釈迦に説法”。とはいえ,まず最初に,基本的な薬理の話を少し。遮断薬と対比する薬物として作動薬がある。β遮断薬ならβ作動薬になるが,このβ作動薬が心臓のβ受容体に作用すると(詳細は後述),心筋収縮力や脈拍の増加が現れる。という具合に,作動薬と呼ばれる薬物は特定の受容体に結合して生体にさまざまな作用をもたらす。そのなかにはありがたいものもあれば,そうでないものもある。臨床では,同じ作用でも,時にはありがたく,時にはありがたくなかったりする。
一般的に遮断薬と呼ばれる薬物はたくさんあるが,そのほとんどが,その薬物そのものが何らかの作用を有するものではない(ミニ知識1)(図1)。β受容体への作動薬や作動物質の結合と競合して,結果として作動物質の受容体への結合を減らすことで,もともとのβ受容体への作動物質の作用を弱めることが,その薬理作用である。つまり,β作動薬の作用を理解することで遮断薬の作用もおのずと理解できるのである。
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