バイタルサイン・30
危険な不整脈—心室性頻脈性不整脈
道場 信孝
1
1ライフプランニングセンター研究教育部
pp.964-965
発行日 1982年9月1日
Published Date 1982/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919645
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心室性不整脈の中でも,リスクの高い不整脈として注目されるものは,多源性期外収縮,二連あるいは三連性の期外収縮,そして心室頻脈(VT),心室粗動(VF),心室細動(Vf)である(図1).しかし,心室性期外収縮で数が少ないものでも,突如リスクの高い不整脈へ進展することがあるので,心室性期外収縮(PVC)の形態のみで予後を予測することはしばしば困難であり,したがって背景疾患の重症度を知り,常にバイタルサインを正しくとらえておかなければならない.
心室性期外収縮(PVC)は,それ自体血行力学的に著しい障害を与えるものではないが,これにより危険な不整脈の前触れとなる場合が重要である.特に背景に重篤な心疾患があるときには,危険な不整脈の発生を予防する必要がある(表).たとえば急性心筋梗塞の際に,RonT現象は心室頻脈や心室細動へ移行する危険な徴候とみなされている(図2).PVCは特別な心疾患をもたない健常者にもしばしばみられ,茶,コーヒー,タバコ,アルコール,精神的ストレスなどによっても誘発されるが,ジギタリス中毒の徴候であることもある.治療は患者の臨床状態によって異なり,明らかな器質的疾患のないときには薬物療法の対象とならないが,急性心筋梗塞,うっ血型心筋症などでRonT現象,二連,三連のPVC,多源性のPVCの場合には治療を要する
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