症例検討 麻酔手技に伴う合併症とその対処
橈骨動脈カテーテル留置後の手の虚血—自覚症状の変化に注意する
渡部 達範
1
,
森谷 浩治
2
Tatsunori WATANABE
1
,
Koji MORIYA
2
1新潟大学医歯学総合病院 麻酔科
2新潟手の外科研究所病院 整形外科
pp.148-155
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200500
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症例
70歳の女性。身長149cm,体重54kg。狭心症に対してオフポンプ冠動脈バイパス術が予定された。慢性腎不全のために週3回の透析を受けており,左前腕にシャントが造設されている。高度の閉塞性動脈硬化症に起因して両側の足背動脈と後脛骨動脈が触知できないため,右橈骨動脈に22Gのカテーテルを留置した。
手術は順調に経過し,術翌朝に集中治療室(ICU)で抜管した。その際,看護師が右手,特に母指と示指が冷たいことに気づいた。血行動態を維持するため,ドブタミン8μg/kg/minとノルアドレナリン0.1μg/kg/minが持続静注されており,観血的動脈圧測定を続けたいと主治医およびICUの医師は考えている。
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