徹底分析シリーズ 神経精神疾患と麻酔
てんかん—術当日でも抗てんかん薬を継続する
大倉 暖
1
,
堀下 貴文
1
,
佐多 竹良
1
Dan OKURA
1
,
Takafumi HORISHITA
1
,
Takeyoshi SATA
1
1産業医科大学 麻酔科学教室
pp.1218-1222
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200451
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てんかんとは,「種々の病因によってもたらされる慢性の脳疾患であり,大脳ニューロンの過剰な放電から由来する反復性の発作を主徴とし,それに変異に富んだ臨床ならびに検査所見の表出を伴う」1)という世界保健機関(WHO)の定義が最もよく引用される。
てんかん患者の70%は,脳に明らかな器質因を認めない特発性てんかんであり,残りの30%は,何らかの大脳病変を伴う症候性てんかんである。有病率は0.3〜1%で,日本では約100万人のてんかん患者がいるとされる。発症率は新生児期が最も多く,80%は18歳以前に発症する。その後は低下傾向となるが,初老期になって再び増加傾向となる二峰性を示す。抗てんかん薬による治療が行われるが,20%で難治性てんかんへと移行する。
本稿では,①てんかんの病態,②治療法,③麻酔薬の抗てんかん薬に対する影響,④麻酔管理で注意すべき点,⑤麻酔中,抜管後に発症した痙攣発作への対処法,について解説する。
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