徹底分析シリーズ 小児の気道異常
巻頭言
青山 和由
1
1トロント小児病院 麻酔科
pp.661
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200321
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- 文献概要
小児麻酔科医を志した私が国立成育医療センター麻酔科の門を叩いたのは,麻酔科専門医になる前であった。研修を終えスタッフになってからも,小児の気道異常への対応については,症例から学ぶことばかりであった。いま,場所を変えて小児麻酔に従事しているが,気道異常への対応で常に新しい学びがあることは変わらない。そして改めて感じるのが,小児の気道異常への対応で重要なことは,常日頃から知識を整理し,日々の症例では気道異常の可能性を常に意識し続けることである。このことを多くの麻酔科医と共有したくて,小児の気道異常(中でも上気道)の特集を計画した。
小児の気道異常に対する意識を向上,維持するためには,まず,異常を見逃さないための病歴聴取や身体診察を含めた基本技能が必要となる。そして困難気道が予想されたら,最新のビデオ喉頭鏡も含めた気道管理デバイスも使いこなしたい。近年,小児でも閉塞性無呼吸が大きな問題となっている。また,外科的介入が求められるような先天性の気道異常もある。このような疾患に対する周術期管理についても理解しておこう。さらに,このような気道異常への対応能力を客観的に評価し,能力を維持していくために非常に重要なのがシミュレーション教育である。日頃の備えとしてできることから取り入れたい。
小児の気道異常の特集について考え始めた時,真っ先に浮かんだのが,千葉大学の磯野史朗先生とピッツバーグ大学の本山悦朗先生であった。今回,お二人のコラボレーションという形で実現した「小児麻酔における気道管理研究:現状と将来の展望」は,読者諸氏が,今後の小児気道研究の方向性を知る最高の総説となっている。
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