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◆明確なルールに従って勝敗が決まる(たまには,引き分けということもありますが)のが私の感性にフィットするのでしょう。テレビでのスポーツ観戦は手軽な娯楽として楽しんでいます。有料衛星放送チャンネルの競争も激しいようで,ジャンルに特化したコンテンツを並べてくれるので,好みのスポーツ中継をウリにするチャンネルと契約すれば,なかなかの試合が楽しめます。 たまに,競技場に出向いて観戦することもあります。そんなときは,なるべくいい席を確保したいもの。で,まあまあいい席で観戦すると,テレビで見慣れている視点とは別の角度からゲームが見られるのが新鮮です。通常テレビ放送では,競技場を俯瞰する高い位置に設置されたカメラからの映像が中心で,それに比べて競技場では,視点がかなり下がります。より選手に近いので,息づかいが感じられますし,当然,スピード感も違います。 ◆今の時期にこう書くと,ブラジルに行ったのかと思われるかもしれませんが,私が見に行く(そして自分でもする)競技はテニスです。 「いかに俯瞰してプレイするかが大切だ」とテニス雑誌は教えてくれます。それができると,戦略的にプレイができるのだとか。また,「ゾーンに入ると,自分を上から眺めている感覚でプレイができる」などと言う方もたまにいます(ちょっとした,幽体離脱だと思います)。そして,プロの選手たちも,コートに居ながら,自分を映すテレビの映像が見えているに違いありません。でなければ,背中に目があるとしか思えないことをやってのけます。ボールを追いかけるのに必死で,相手のポジションだけでなく,自分の立ち位置すらわからなくなってしまう私には,想像できない世界です。 ◆難しいですが,自分を含めて俯瞰する視点は,手術室での麻酔科医同様,編集でも重要です。編集作業は,自分の世界に没頭しようと思えば,いくらでも入り込めるものなので,意識的に「今,私は何をしているのか」と問わないと,ひとりよがりな仕事による,ひとりよがりな本ができあがってしまいます。そして,自分を俯瞰できれば,ギリギリのスケジュールのなか,必死に作業をしていたら,突然コンピュータが壊れて…なんていう,よくある落とし穴にはまっても,ただ必死にもがくのではなく,一息ついて辺りを見回すことができ,脱出ルートが見つけられるかもしれません。 編集者には,「この文字と文字との間はきちんと半角空いているか」といったミクロの視点と,「全体の構成の中でのこのページの位置付けはどうか」といったマクロの視点を,自在に行き来することが必要です。そして,追い込まれたときにこそ,それができるのがプロフェッショナルなのだなと,プロスポーツを見ていて思うのです。 ◆というわけで,スポーツ観戦は大切。見逃せない試合の場合は,当然,休暇をいただいて…。もちろん,海外遠征もしないとね。
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