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■ネット上で見つけた読売新聞6月15日付の「画像見なかった・忘れた…肺がん見逃しの2医師」と題された記事。単純なミスから肺がんを発見し損なったという内容ですが,その理由を整形外科医は「(心機能の事前チェックが必要な)全身麻酔での手術を予定していたが,結果的に部分麻酔で行ったため,画像を見なかった」と説明したというもの。で,気になったのは,ミスの内容ではなく,全身麻酔に対する「部分麻酔」。整形外科医自身が言ったものか,記者が書いたものかはわかりません。また,今月号のブックレビューで紹介された『ヘヴン』にもこんな文章がありました。「君,けっきょく,局部にしたんだっけ?」「いえ,全身麻酔にしてもらいました」という医者と僕との会話。局部麻酔ということでしょうが,でも,「局部にしたんだっけ?」となると,あれに何をしたんだ,と突っ込みを入れたくなります。なんだか基本的なことが抜けているような気がします。
NHKの連続テレビ小説「梅ちゃん先生」を観ているとさまざまな疑問点が出てくる,という話を聞きました。例えば,大学病院内で医者同士が「〇〇さん」と呼ぶなど昭和20年代,30年代にはあり得ない,皆「〇〇先生」と呼んでいたはずです,と。また,ある医局の患者を他科の医師も診るとか,今の大講座制の大学ならともかく,あの当時はあり得ない。ほかにも「先生が研修医の頃から存じてます」という会話があったが,戦前には研修医という言葉は存在しないはず。などなど…。もっとも,今でもほとんどが「〇〇先生」でしょうし,異なる医局が一人の患者を診るのは今でも難しいのでは,と思えてなりません。昭和20,30年代でも今でもない,やはりこれは架空の話ということに…。時代考証がなっていない,と言ってしまえばそれまでですが,大河ドラマ「平清盛」の低視聴率故に,すがすがしい朝のドラマをという考えが働いたのかもしれません。
ところで,昔の海外TVドラマ「ベンケーシー」。いったいどのような医療監修がなされていたのか。ドラマそのものは,基本はしっかりと押さえていたのではないかと思うのですが,気になるのは日本語翻訳における医学監修。疾患名を含め,医師同士,医師とコメディカル,患者・患者家族,どのような会話が繰り広げられたのか。当時のそれぞれの関係を示すようなものになっていたのではないか,と想像するのですが,それは果たしてどのようなものだったのか。思い出すのは「男,女,誕生,死亡,無限」のナレーションのみなのが残念です。
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