徹底分析シリーズ 困難な呼吸器手術
心肺予備能が低い患者の術前評価―手術の「体力」を評価する
五藤 恵次
1
GOTO,Keiji
1
1岡山東部脳神経外科クリニック 麻酔科
pp.630-637
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102164
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年の手術手技や麻酔,術後管理の進歩により,従来ではハイリスクのために手術禁忌とされていた患者でも,手術の恩恵を受けられるようになってきた。一方では,手術適応を拡大したために長期間の人工呼吸管理を必要としたり,不幸な転帰をとる症例も認められる。麻酔科医は,従来は断っていた「怖い」症例に関して,外科医や患者から手術を要望され,可否判断を求められるが,その「見極め」は容易ではない(コメント1)。 本稿では心肺予備能が低い患者への肺切除術の麻酔の術前評価をテーマとする。「心肺予備能が低い」患者にはさまざまな組合せ(図1)が考えられ,重症者も多い。心疾患や肺疾患が単独の場合に関しては多くの参考文献があるが,心肺両方の機能が低下している患者に対する麻酔管理に関する報告は少ない。このような患者の肺切除術のリスクをどう考え,どう術前評価するのかを,心肺予備能に焦点を絞って考察する。
Copyright © 2014, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.