徹底分析シリーズ open TCI:PK-PD学ぶなら今でしょ
麻酔管理に直結するPK-PDモデルの違い―PKモデルは血中濃度に,PDモデルは効果部位濃度に影響を及ぼす
増井 健一
1
Kenichi MASUI
1
1防衛医科大学校 麻酔学講座
pp.1064-1067
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101964
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薬物動態(PK)-薬力学(PD)モデルは,静脈麻酔薬や麻薬などの効果部位濃度の計算に用いられる。血中濃度ではなく効果部位濃度が薬物の投与調節に用いられるのは,プロポフォールやレミフェンタニルの効果が,血中ではなく効果部位(effect-site, site of action, biophaseなどと表現される)で発揮されるからである。
標的濃度調節持続静注target controlled infusion(TCI)に使われる予測血中濃度および効果部位濃度も,PK-PDモデルにより計算されている。2013年10月現在,日本で一般的に利用できる商用TCIポンプはディプリフューザーⓇのみで,このポンプでは一組のPK-PDモデルが利用されている。
近い将来open TCIが認可されると,プロポフォールのTCIには,これまでと異なるPK-PDモデルも使えるようになる。その場合,同一の投与条件でも,PK-PDモデルの違いにより効果部位濃度が異なるという現象が起きる。
本稿では,複数のPK-PDモデルが存在するプロポフォールをもとに,PK-PDモデルの違いが麻酔管理にもたらす影響について考える。
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