徹底分析シリーズ 腎臓を守れ!麻酔科医
CKDの概念・疫学・診断と治療―シンプルな定義で普及に貢献,心血管疾患との関連も明らかに
頼 建光
1
RAI,Tatemitsu
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院 血液浄化療法部
pp.948-955
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101938
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さまざまな急性,もしくは慢性の病的機序により腎臓の実質が障害されると,ネフロンの数が少しずつ減少していき,残存ネフロンにおける過剰濾過hyperfiltrationという適応反応が起こる。この過剰濾過は,長期的には糸球体を障害し,尿蛋白の増加と進行性の腎機能低下をまねく。腎機能の低下は,初期は無症状であるが,自然経過のなかで腎不全の臨床症状が出現してくる。この進行性の腎機能低下の流れは,適切な治療を行ったとしても,止めることは容易ではなく,しばしば非可逆性の経過をたどる。
このような,さまざまな原因疾患によりもたらされる腎臓の形態的,機能的障害を,腎機能〔糸球体濾過量(GFR)〕と障害の程度(蛋白尿や解剖学的,病理学的異常)に着目し,一つの共通の症候群として捉え直したのが慢性腎臓病chronic kidney disease(CKD)の疾患概念である。
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