2012年度ノーベル化学賞受賞者Brian Kobilkaとの研究生活
アドレナリン受容体研究の最前線を駆け抜けた2年間
溝部 俊樹
1
Toshiki MIZOBE
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学
pp.292-299
発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101781
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2012年10月10日,家に帰って何気なくテレビをつけたら,Brian Kobilkaが,彼の元ボスであるRobert Lefkowitzとともに映っていた。ノーベル化学賞の受賞者として紹介されている二人だった。画面に映るBrianの笑顔を見ながら,1年前の『Nature』で目にした“Buzzing about a Nobel Prize (ノーベル賞の噂が飛び交っている)”というフレーズを思い出した。
2011年,『Nature』にBrian の特集記事1)が掲載された。個々の実験データではなく,彼のこれまでの略歴と,アドレナリン受容体の立体構造解明にかけてきた研究生活が彼の写真とともに統括して述べられたもので,『Nature』としては特異な記事であった。そのなかにさりげなく,“Buzzing about a Nobel Prize”というフレーズが入っていた。
しかし,1年前にその論文を読んだ時,私が最も気を取られたのはそのフレーズではなく,Brianの近影の後ろに写っていた,まさしく私が2年間,彼とともに毎日実験を行っていたラボのベンチだった。
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