徹底分析シリーズ 意識のバイオロジー
意識の可視化は可能か―機能的脳画像法が解明する意識と麻酔のメカニズム
倉田 二郎
1
KURATA, Jiro
1
1京都大学大学院医学研究科侵襲反応制御医学講座 麻酔科学分野(現 東京医科歯科大学医学部附属病院 麻酔・蘇生・ペインクリニック科)
pp.360-364
発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101502
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機能的脳画像法は,ヒトの脳を傷つけずに電気活動・血流・代謝の変化を捉えることを可能にした。これによる麻酔の研究が進み,全身麻酔薬が脳のどこをどのように修飾して「無意識」状態を作り出すのか,脳科学を基礎に論じることができる。
麻酔薬は,さまざまな感覚情報が脳の中で「統合」されて感覚世界が認識される過程を抑制する。その場所となる感覚連合野を含んだ,意識の維持に重要な役割をする特定のネットワークの働きを抑制する。機能的脳画像法により,大脳皮質の境界を越えて行われる情報のやりとりが,麻酔薬の作用によりダイナミックにブロックされる様子まで,画像で示された。
このような研究の流れは,最近十数年間のたくさんの文献によって裏づけられるが,まずは一目で見渡して,この研究がもつ無限の可能性と魅力を知っていただきたい。
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