徹底分析シリーズ 意識のバイオロジー
麻酔のハード・プロブレム―意識の哲学から神経科学へ
倉田 二郎
1
KURATA, Jiro
1
1京都大学大学院医学研究科侵襲反応制御医学講座 麻酔科学分野(現 東京医科歯科大学医学部附属病院 麻酔・蘇生・ペインクリニック科)
pp.348-351
発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101500
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麻酔薬の主作用は,「意識をなくす」ことである。そのメカニズムを考えるとき,「意識とは何か」を定義しなければならない。これは古くから哲学・宗教の主題である「わたし」とは何かという問題と重なり,科学では説明できないとして避けられてきた。ところが近年,神経科学が著しく発達して,盛んに意識が研究対象とされ,麻酔による意識消失メカニズムがその土俵で議論されるようになった。
本稿では,意識の哲学的背景と,意識を論じる神経科学の構造を概説する。
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