徹底分析シリーズ 周術期の低体温
治療的低体温―わかっていること いないこと knowledge gapの解消はまだこれから
久保山 一敏
1
,
小谷 穣治
1
,
山田 勇
1
KUBOYAMA, Kazutoshi
1
,
KOTANI, Joji
1
,
YAMADA, Isamu
1
1兵庫医科大学 救急・災害医学/救命救急センター
pp.46-50
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101427
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治療的低体温therapeutic hypothermia(図1)とは,心肺停止や外傷などで重度の障害を受けた脳(中枢神経系)の機能改善を意図して導入する低体温を指す。麻酔科領域より集中治療・救急領域で行われるものであり,日本では低体温療法,もしくは脳低温療法と呼ばれることが多いので,本稿では以下「低体温療法」と表記する。
低体温療法の有効性が確立しているのは,心停止蘇生後の低酸素脳症(蘇生後脳症)の一部に対してである。ほかに重症頭部外傷や脳卒中などでの適用が検討されている。本稿では,各分野のガイドライン類を手掛かりにして,低体温療法の「わかっていること いないこと」について述べる。また,ガイドラインによって推奨度の表現は異なるので,その点も適宜解説する。なお本稿の論述の対象は,成人患者に限定する。
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