徹底分析シリーズ 周術期の低体温
呼吸・循環への低体温の影響―体温の低下に対して変化は一様ではない 医療の介入や薬物による反応の増強に注意
永島 計
1
,
時澤 健
1
,
内田 有希
1
NAGASHIMA, Kei
1
,
TOKIZAWA, Ken
1
,
UCHIDA, Yuki
1
1早稲田大学人間科学学術院 統合生理学(体温・体液)研究室
pp.14-17
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101421
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低体温は,広い意味での呼吸(肺胞から末梢組織でのガス交換)・循環に大きな影響を及ぼすが,その影響は,低体温に陥った状況によりさまざまである。すなわち,救急外来に運ばれてきた低体温でも,事故や疾患の種類(寒冷環境への長期曝露や脳疾患,意識消失などに伴う体温調節反応の減弱など)によって異なるし,病院の中でも,病棟で起こったか,手術室で起こったかで大きく異なる。
また近年,低体温療法が脳や心筋障害時の臓器保護の方法として用いられるようになり,低体温が人為的に行われる場合もある。病棟や手術室においても,補液や循環管理がなされているか,気道が確保されているか,さらには人工呼吸器でコントロールされているか,麻酔薬や筋弛緩薬,カテコールアミンが用いられているか,などによって呼吸・循環への影響は大きく異なる。もちろん,肺や呼吸中枢,心臓・血管にかかわる基礎疾患の有無にも左右される。
本稿では,以上のような個別の状況に応じて低体温の影響を評価するために必要になる,基礎的な低体温時の呼吸・循環の変化について解説する。
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