- 販売していません
- 文献概要
■年に一度の健康診断を受けました。で,血液採取。「どちらの腕にしますか」と看護師が尋ねるものですから,「あなたの腕で」と答えました。すると,彼女は「私は痛いのいやですから,あなたの腕でやりましょう」と答えるではありませんか。しょうがなく左腕を出し,ぐさりとやられました。もちろん看護師は「ちょっとチクッとしますよ」と注意してくださいましたし,針が見事にわが腕に突き刺さったあとには,「しびれることはありませんか」と気遣ってもくださいました。実は,最初の針プチッよりは,真空採血管を交換するときの圧力のほうに違和感を覚えました。針をしっかり固定してくれないと,針が血管の反対側まで行ってしまう,という不安。そんなこんなで,神経損傷が起きるのだな,と…。それにしても,真空採血管とはすごい発明。昔はありませんでした。逆に,注射後には必ずグリグリもんでいたあの儀式はなくなりました。今は昔。
先月の編集会議,“痛み”を特集でどう料理するかの白熱した議論の中でのお話です。痛み発生のメカニズム,受容体の話から,子供の注射はどうするかの話に移っていきました。そう,これも今や昔のこと。注射をするときには必ず言われたものです。尖った針をみて怖がっている私に対して,「君は強いよね,男の子だよね,痛くないからね」と。で,注射をされると,痛い。やさしい顔してひどいことをするもんだ,嘘つき,と以来注射嫌い,医者嫌いになった子供は私だけではないはずです。
痛みそのものの絶対値は変わらない。であれば,痛みは主観の問題ですから,痛みの感じ方を小さくすればよい。ということで,子供に注射をするときは,楽しいビデオを見せながら,画面に気をとられている隙をねらう,という方法があるといいます。また,アメリカでは,予防注射時,子供にChupa Chupsを与え,子供がなめ始めたとたんに,一気呵成に注射する。子供は驚いて泣きはするものの,「ほら,もう痛くないよ」とやさしく言われると,泣き止んで,アメをなめ続けるとか。甘いものは痛みを減らす効果あり,という基礎研究もあるそうです。でも,そのうち,アメを見ると注射を思い出して痛くなるやもしれません。
そこで,痛みの感じ方を緩和させるためにアメを与えるのとは逆の発想。大きな声で「痛い,痛い,痛い…」とその痛さを強調しておいてチクッとやる。相当の痛みを覚悟していた子供は,何だか拍子抜けをするという方法。この方法,試す価値はあるようです。でも,「痛い,痛い,痛い…」と言っている間に逃げられてしまうかも…。
Copyright © 2011, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.