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【症例1】患者は,呼吸困難感を主訴に来院してきた。来院時のSpO2は90%で,4L/minの酸素投与後は94%であった。「酸素投与で少しよくなった」と判断した担当医は,入院時指示を出した後に病棟から離れた。その後,SpO2は90~94%を推移し,担当看護師は呼吸状態の変調を知らせ,指示変更のrecommendationをしたが,担当医は「もうしばらく様子を見て」との指示を繰り返した。リーダー看護師が,呼吸状態のほかに,脈拍,意識状態の情報を含めて呼吸停止の可能性を伝えると,診察に向かうと返答があった。担当医が到着する直前から心拍数(HR)が低下し始め,診察開始時には110回/minから60回/minに低下し,SpO2は80%を下回っていた。気管挿管に手間取る間にHRはさらに低下し,一時的に胸骨圧迫を行いながらの緊急対応となってしまった…。
【症例2】患者は,老健施設から腰痛を主訴に来院した。認知症があり,当初より行動が落ち着かなかった。いつもの様子と違うという家族の情報と,高血圧の既往歴のある患者の血圧が98/60mmHgと低めであることを担当看護師が担当医に報告すると,「外来診察が終了してから診察する」との返答があった。継続観察していると,バイタルサインは不変だが患者の行動はさらに落ち着かなくなり,目線が合わなくなってきた。再度医師へ報告すると「後で診るって言ったでしょ!」と一喝されてしまった。それでも気になる看護師は,別の医師に状況を伝え診察・検査を行ってもらったところ,大動脈解離の可能性があると診断され,緊急で血管外科にコンサルトになった。
…
これらは架空の症例ではあるが,似たようなことはどこでも起こり得る。どうすれば,このような事態を防げるのであろうか。
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