症例検討 麻酔でよく用いられる薬物の副作用
脊髄くも膜下麻酔とエフェドリン治療,そして心筋虚血―心筋梗塞の鑑別は当然として,心膜炎,心筋炎,肺塞栓も否定されたら…
宮崎 良平
1
,
外 須美夫
1
MIYAZAKI, Ryohei
1
,
HOKA, Sumio
1
1九州大学病院 麻酔科蘇生科
pp.398-400
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101210
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症例
61歳の男性。身長168cm,体重72kg。右鼠径ヘルニアに対してヘルニア根治術が予定された。5年ほど前に高血圧と診断されているが,特に治療はしていない。入院時の血圧は140/90mmHg,心拍数は80bpmであった。40年間,1日20~30本の喫煙歴があり,普段から痰が多い。空腹時血糖は130mg/dLであり,ヘモグロビンA1Cは7.0%であった。現在,特に薬物は服用していない。
0.5%高比重ブピバカイン2.8mLとフェンタニル10μgで脊髄くも膜下麻酔を行った。投与の8分後,血圧が86/56mmHg,心拍数が46bpmとなった。エフェドリン5mgを静注したところ,血圧は100/66mmHgと上昇し,心拍数は50bpmとなった。しかし,患者は胸部不快感を訴えるとともに,心電図上ST部分の上昇がみられた。
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