特集 コロナ禍去って今こそ必要なエンテロウイルスの知識
6.心筋・心膜炎
山形 知慧
1
1東京大学医学部附属病院小児科
pp.35-39
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002908
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エンテロウイルスは小児心筋炎・心膜炎を引き起こす重要なウイルスである.ウイルス性心筋炎では感冒様・胃腸炎様の前駆症状ののちに息切れ,呼吸困難,浮腫などの心不全症状が出現する.診断は症状,身体所見,心臓超音波検査所見などをもとに総合して行われるが,なかには急速に循環破綻をきたす劇症型という病態があり,心筋炎が疑われる場合には高次医療機関への搬送を念頭に治療にあたることが望ましい.ウイルス性心膜炎は主に胸痛などの症状で発症し,心嚢液貯留が高度となると心タンポナーデとなり心不全症状が出現する.治療はNSAIDsやコルヒチンが推奨されており,タンポナーデをきたしている場合には心嚢ドレナージが必要となる.
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