徹底分析シリーズ 麻酔科医とタンパク質の一生
細胞のなかでの交通整理って?
青江 知彦
1
Tomohiko AOE
1
1千葉大学大学院医学研究院 麻酔学
pp.14-19
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100835
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麻酔科医が日常的に用いる薬物の多くは,細胞表面上の受容体やイオンチャネルに作用してその機能を阻害あるいは賦活して効果を発揮する。プロポフォールでGABAA受容体の作用を増強させ,ロクロニウムでアセチルコリン受容体を阻害し,ロピバカインでNa2+チャネルを阻害し,モルヒネでμオピオイド受容体を活性化させる。こうした受容体やイオンチャネルはタンパク質である。また,こうした受容体に作用する内在性のリガンドの中にはβ-エンドルフィンなどのオピオイドペプチドのようにタンパク質由来のものもある。
これらのタンパク質は細胞質のリボソームで合成されるが,無秩序に細胞表面や細胞外に飛び出してくるわけではない。本稿では主にμオピオイド受容体などの細胞表面受容体を想定して,細胞内でのタンパク質輸送を概観する。
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