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1.はじめに―神経組織の酸性タンパク質とカルシウム結合タンパク質
生物化学の究極の目的は,いろいろの生物のはたらきを化学的な機構に還元して理解することであるとされている。このような方向に従って,生物のさまざまの高次のはたらきについての研究が進みつつある。たとえば,遺伝についての理解,免疫についての考え方,発生あるいは細胞相互の認識の問題,筋肉収縮についての機構,神経パルスの伝達の機構など,かつては全く不可解と思われた現象についても,いちおうの考え方が出来上がりつつある。このような生物化学の研究の流れを概観すると,いずれも生体高分子の化学的性質にその理解を求めようというのが基本的な考え方であるように思われる。なかでも,このような研究の流れの中心に存在するのがタンパク質である。もちろん,核酸も,炭水化物も,脂質も確かに重要な役割を果たしており,これらが存在しなくては生物はありえないのであるが,その役割はむしろ静的である。すなわち,換言すれば,核酸,炭水化物などの生体高分子は,タンパク質によって動きを与えられているというべきである。この意味で,タンパク質の動的な変化を高次に組み上げて生物のはたらきを説明するというのが生物化学の研究の流れであると考えたい。
しかし,現実には,研究の方向としては,生物のいろいろの作用を解析し,その作用を担う究極の物質として,対応するタンパク質を見出すというのが常道である。
Summary
About 50 "nominally different" acidic proteins, including 20 "brain-specific" proteins, have been identified so far in the nervous tissue. Among these, 16 proteins are characterized to be a calcium binding protein.
Survey of calcium binding proteins in the animal tissues, on the other hand, have revealed that they are classified into the following groups based on the residues responsible for calcium coordination, i.e. the proteins containing: parvalbumin-like EF hand calcium binding loop (group I), γ-carboxy glutamic acid (Gla) (group II), phosphorylated serine or threonine (group III).
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