徹底分析シリーズ 星状神経節ブロックを見直す
コラム:患者のSGBイメージと頸部血腫の予防
川井 康嗣
1
Koji KAWAI
1
1山口大学医学部附属病院 麻酔科蘇生科
pp.1188-1191
発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100520
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●SGBの危険なイメージ
ペインクリニックを志す医師なら,星状神経節ブロック(SGB)の効果や適応などを知ったうえで,その危険性についても理解している。しかし,ペインクリニックやSGBのことについてあまり詳しくない医師でも,その危険なイメージだけはしっかりもっているようである。筆者も研修医時代,頸部血腫から気管切開に至った症例の話を耳にしたとき,これから学ぶSGBは危険なブロックであるという恐怖感をもった。そして,教科書を開くと,頸部血腫をはじめとする重篤な合併症が必ず記載されていることから,SGBの危険なイメージが明確となったのを記憶している。その後,現在まで約20年間SGBを行ってきたが,当初の恐怖感はなくなったものの,危険なイメージは依然消えてはいない。
その危険性の代名詞ともいえるのが,合併症の一つである頸部血腫である。頸部血腫は場合によっては致死的となる。しかし実際,SGB後に生じる致死的な頸部血腫の頻度は,数万例もしくはそれ以上に1例と非常にまれである1)。SGBに対して,必要以上に危険なイメージを持つことは好ましくない。そのためには,頸部血腫について知り,予防と対策を十分検討することが必要と思われる。
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