徹底分析シリーズ 緩和医療を考える
緩和ケアの施策の方向性:がん対策基本法の施行を踏まえて
加藤 雅志
1
,
梅田 勝
2
Masashi KATO
1
,
Masaru UMEDA
2
1厚生労働省 健康局総務課がん対策推進室
2横浜検疫所
pp.240-243
発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100226
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昭和56年に悪性新生物がわが国の死亡原因の第1位となった。これに対応するために昭和58年,「対がん10か年総合戦略」が定められた。平成16年より「第三次対がん10か年総合戦略」*1が進められ,がん対策はさらに進展し,一定の成果を収めてきたところである。しかしながら,なお,がんが国民の生命および健康にとって重大な問題となっている現状を鑑み,「がん対策基本法」*2が平成18年6月に制定され,より一層がん対策を推進していくための環境が整備されたところである。
このがん対策基本法では,国および地方公共団体は,緩和ケアが適切に提供されるように取り組んでいくことが示されており,がん患者の療養生活の質の維持向上のために,がんに伴う疼痛等の身体症状の緩和や精神心理的な問題への援助等が終末期だけでなく治療の初期段階から積極的な治療と並行して行われること,また,患者の希望を踏まえ入院のみならず住み慣れた家庭や地域で療養しながら生活を送ることができるように,在宅医療の充実をはかることが求められている。本法律が施行される平成19年度,わが国における緩和ケアにとっては大変重要な年になるものと考えられる。
厚生労働省におけるがん患者に対する緩和ケアについてのこれまでの取り組みと,これからの施策について述べる。
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