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from LISA
pp.953
発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100202
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- 文献概要
■遠藤秀紀著『パンダの死体はよみがえる』(ちくま新書,2005年)に沖縄のマングースの話があります。1910年,島民の驚異であるハブ撲滅のため,渡瀬庄三郎東京帝国大学教授により放たれたマングースは,ハブではなく,家畜や希少動物を襲いその数を増やし,今や駆除の対象になっている。「かつてマングースの放獣は,島民社会が安全に生きるために歓迎した秘策だった」が,「渡瀬庄三郎の魔法の杖は,百年で天下の愚策とされるに至った」というもの。で,なぜマングースの話かというと,7月28日に行われた「診療関連死の死因究明制度創立に係わる公開討論会」に参加したからなのです。
この討論会は,4月に公表されたいわゆる「第三次試案」をベースにした「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱」について,6団体の代表がそれぞれ意見を表明,その後に総合討論というプログラム。学会のシンポジウム同様,演者の発表後は,フロアからの質問もほとんどなく,司会が,“警察への通知範囲はどこまでが妥当か”,そんなポイントをいくつか各演者に振りながら時間を消化…,などと思っていたのですが,とんでもない。司会も収拾をあきらめたのか,“議論百出”となるのですが,その様子は,ネット上(ブログを含め)に詳細が示されております(日本麻酔科学会ホームページ,8月1日付ニュースにも)。ともあれ,日本医学会会長は,具体的な内容に関しては民主党案を含め議論していかなければならなくなるだろう,と公開討論を締めくくっています。
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