症例検討 モニタリングをめぐるトラブルとその対処法1
肺動脈カテーテル:肺動脈カテーテルが右室から肺動脈に入るところで,心室性不整脈が頻発してなかなか進まない。
四つの代替法で回避/いったん右室入り口までPACを引き抜き再度進める,何でも試してみる,撤退する勇気を持つ,の三原則で対処
濱田 宏
1
,
讃井 將満
2
,
村山 隆紀
2
Hiroshi HAMADA
1
,
Masamitsu SANUI
2
,
Takanori MURAYAMA
2
1広島大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔蘇生学
2自治医科大学付属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
pp.304-309
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100061
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症例
74歳の女性。労作時狭心症に対して冠動脈バイパス術が予定された。橈骨動脈に動脈圧ラインを留置した後,フェンタニル,プロポフォールで全身麻酔導入,気管挿管を施行した。続いて右内頸静脈を穿刺し,肺動脈カテーテル(PAC)の挿入を開始した。右室まで順調に進んだものの,そこから肺動脈にどうしても入らない。入れたり出したり繰り返すが,右室壁にあたって心室性期外収縮が頻発するばかりである。
…
心臓血管外科手術や心疾患を合併した非心臓手術の麻酔において,PACから得られるパラメータは循環管理の指標としてしばしば有用である。しかし,PACの挿入には侵襲的な操作が必要であり,また,PACの留置に関連したさまざまな合併症も報告1~3)されている。できるだけ安全でスムーズに素早く留置を完了したいところではあるが,予想外に難渋することも時に経験する。
今回の症例は,PAC挿入時に右室まではカテーテルを挿入することができたが,そこから肺動脈にどうしても入らず右室壁にあたって不整脈ばかりが頻発するという,誰しも何度か経験したことがある事例である。
さて,このような場合どうすべきか。ただやみくもに時間をかけて突っつき回すことは,心臓への影響を考えた場合,あまり勧められることではない。何らかの代替法を考慮すべきである。著者は以下の四つの方法を選択肢として提案する。
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