Japanese
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ジュニアコース
酸素および炭酸ガス解離曲線
O2, CO2 Dissociation Curve.
伊達 俊夫
1
Toshio Date
1
1慶応大学医学部内科
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.143-148
発行日 1966年2月15日
Published Date 1966/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201557
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はじめに
血液の重要な機能の一つとして酸素および炭酸ガスの輸送がある。血液によって酸素は肺から組織へ,炭酸ガスは組織から肺へ運ばれるが,肺胞血液間および血液組織間の酸素,炭酸ガスの授受は能動的にではなく,まったく受動的にガス分圧の勾配によって行なわれることが知られている。したがって運ばれるガスの量は肺胞のガス分圧に対して血中に含みうるガスの量と,組織のガス分圧に対して血中に含みうるガスの量との差によって決められる。血液中に物理的に溶解しうる酸素および炭酸ガスの量は血液100cc当り約0.3ccおよび2.8ccであり,実際に血液中に含まれている酸素および炭酸ガスの量(100cc当り約20ccおよび50cc)に比較すると非常に少ない1)。いいかえれば,血液は溶解という単なる物理的な性質のほかにphysicochemicalな性質を有しており,それによって能率のよい血液ガス輸送を行なっていることがわかる。
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