技術講座 輸血
赤血球抗体解離法
佐藤 千秋
1
,
松島 弘子
1埼玉医科大学病院輸血センター検査室
pp.1288-1292
発行日 1987年11月1日
Published Date 1987/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204320
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赤血球膜に結合している抗体を解離する方法として,温度変換法,pH変動法,有機溶媒処理法が一般的に挙げられる.抗体解離法は,その目的,すなわち解離する抗体のサブクラス別,抗体解離後の赤血球の利用などにより方法が選択される.
抗体解離の利用目的を大別すると,
1)赤血球に結合している抗体の同定を必要とする場合:ⓐ血液型母子不適合新生児溶血性疾患,ⓑ自己免疫性溶血性貧血,ⓒ血液型不適合輸血
2)既知の特異抗体を赤血球に吸着させ,さらに解離することにより,赤血球抗原の存在の有無を確認する場合
3)混在する複数の赤血球抗体を既知の赤血球を用いて吸着,解離させ,抗体の型特異性を同定する場合
4)自己抗体を解離し,解離後の赤血球を用いて各種の型抗原を決定しようとする場合
などが挙げられる.
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