症例検討 よくある症例の麻酔
歯が抜けないようにしてほしいと頼まれた症例:術前に歯牙の状態をしっかり把握,起こりうることは家族にちゃんと説明
澁井 武夫
1,2
,
水戸野 裕之
3
,
武藤 理香
3
Takeo SHIBUI
1,2
,
Hiroyuki MITONO
3
,
Rika MUTO
3
1埼玉県立小児医療センター 麻酔科
2東京歯科大学 口腔外科
3埼玉県立小児医療センター 麻酔科
pp.68-72
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100015
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症例
6歳の男児。扁桃・アデノイド肥大によるいびき,慢性中耳炎に対して,扁桃摘出術,アデノイド切除術が予定された。既往歴は他に特記事項はない。上乳中切歯が2本とも大きく飛び出ている(出っ歯)。歯牙損傷のリスクを説明したところ,母親は2週間後に小学校受験の面接を控えているため,全力で歯が抜けないように麻酔をかけてほしいと望んでいる。
麻酔導入中に歯牙損傷を起こしてしまった!
麻酔科医にとって冷や汗が出る瞬間です。でも,その損傷歯が乳歯なら必ず生え換わるから大丈夫だと思っていませんか?確かに術前にご両親へ歯牙損傷のリスク説明をした際,「かまいませんよ!せっかくだからついでに抜いておいてください」などと抜歯まで快諾されていることもあるかもしれません。しかし,損傷歯がたとえ乳歯であっても,後継永久歯の状態によってはただ盲目的に抜歯してはいけない場合があります。
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