特集1 救急医療のリベラルアーツ 各国の社会事情に向き合う救急医
1.急速な経済成長国:ラオスで交通事故死の低減に挑む
鈴木 貴明
1,2
Takaaki SUZUKI
1,2
1沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 久高診療所
2筑波大学医学医療系 救急・集中治療医学
pp.780-787
発行日 2025年3月25日
Published Date 2025/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.275835970020060780
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世界保健機関(WHO)の報告1)によれば,2021年には,交通事故によって世界全体で119万人が死亡し,その9割以上は途上国で発生しており,若年層に限れば死因のトップである。アジアで経済成長著しい途上国の一つラオスでは,交通事故死が右肩上がりに増加しており,人口あたりの死者数は,我が国が1970年代に経験した最高値を上回る。
一方,同国の救急医療サービスは極めて脆弱で,先進国の経験技術を活かすことで大きく改善できる余地がある。本稿では,交通事故死の増加を食い止めるべく,筆者らがどのような挑戦を現地で行ってきたかを紹介する。

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