寄書
生物および無生物両界に広い影響を与えるX-宇宙因子について
守山 英雄
1
1湘南衛生研究所
pp.42-47
発行日 1962年2月15日
Published Date 1962/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906220
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Ⅰ.未知の物理因子
生物に影響を与える未知の物理因子のあることは,かなり前から一部の研究者には気づかれていた。一見,静止しているような植物の葉や花を,遅速映画に撮つてみると,まるで動物のような無気味な運動をしていることがわかる。これらの運動の中には,既知の物理乃至化学因子によつては説明のつきかねるものがあり,特に発芽したての実生えの運動がそうである。その運動は隋円運動になる場合が多いと云う。この事実は,一定の方角からその運動を起す因子が働いていることを示唆する。
半世紀も前に,Stoppel1)というドイツの女流科学者は,この運動が一群の実生えの間では時間的に同一の歩調で起ることに注目した。これは種子が同一の環境で得られたので,同一の性質を持つに至つたためだとも考えられるので,遠く離れた世界の異なる地域から取り寄せた種子を発芽させて観察してみたが,その結果でもやはり同様であることを知つた。つまり,アメリカから取り寄せた種子でも,ジャバから取り寄せた種子でも,それから生えた実生えは同一の歩調で運動するのであつて,数多くの実生えに共通な因子が働いていることを示している。この因子が物質を通過する力は強大なものであるが,厚い鉱脈のもとに掘られた坑道の中では,運動は見られなかつたという。
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