Japanese
English
特集 宇宙の極限環境から生命体の可塑性をさぐる
Ⅲ.宇宙空間滞在の環境リスク
宇宙居住と微生物
Microbiological challenges and opportunities in space habitat
那須 正夫
1,2
,
一條 知昭
2
,
杉田 隆
3
,
嶋津 徹
4
,
Christophe Lasseur
5
,
David J. Smith
6
,
Kasthuri Venkateswaran
7
Nasu Masao
1,2
,
Ichijo Tomoaki
2
,
Sugita Takashi
3
,
Shimazu Toru
4
,
Christophe Lasseur
5
,
David J. Smith
6
,
Kasthuri Venkateswaran
7
1大阪大谷大学薬学部
2大阪大学大学院薬学研究科
3明治薬科大学
4日本宇宙フォーラム
5ESA-ESTEC, The Netherland
6NASA Ames Research Center, USA
7NASA Jet Propulsion Laboratory, USA
5ESA-ESTEC, The Netherland
6NASA Ames Research Center, USA
7NASA Jet Propulsion Laboratory, USA
キーワード:
宇宙居住
,
微生物
,
space habitat
,
microbes
Keyword:
宇宙居住
,
微生物
,
space habitat
,
microbes
pp.168-174
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200783
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有人宇宙探査では,微生物は常にヒトと共に移動する1-5)。これは,宇宙居住の擬似環境とも言える南極基地6,7),またクリーンルームや医薬品製造施設などにおいても同じである。いずれも通常の居住環境とは異なり,微生物の流入と流出は制限されている8)。そこでは微生物の活性は低く,ヒトと微生物との関係を理解することは容易ではない。宇宙居住環境,またその擬似環境へのアクセスは容易ではなく,サンプリングの機会は限られ,その取り扱いにも制約がある。更に微生物量も極めて少ない。このようにチャレンジングな課題ではあるが,宇宙居住環境や地上の擬似環境では,居住者の動き,清掃頻度,気流などの影響を受け,微生物は時間をかけて変遷していくことが広く認識されつつある。
宇宙居住環境,またその擬似環境では,日常的なハウスキーピングや消毒,あるいは連続的な空気の濾過によって微生物を管理し,微生物の現存量を全体として少なく維持しているが,一部の居住環境においては衛生的に制御することがかなり困難である。国際宇宙ステーション(ISS)のトイレ,ダイニングエリア,運動器具では,微生物が集積する。宇宙飛行士自身,また彼らが食べる食物,廃棄物に関連する微生物が広く存在している。これは,完全には清掃できないことなどに起因している。
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