報告
赤血球の燐酸代謝(第2報)
吉川 春寿
1
,
中尾 真
1
,
宮本 侃治
1
,
柳沢 勇
1
,
水上 茂樹
1
1東京大学医学部栄養学教室
pp.328-332
発行日 1958年10月15日
Published Date 1958/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906038
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成熟人赤血球は,核を失つて居り,呼吸も殆んどせず蛋白合成,多糖類合成はもとより,構成蛋白質は,ヘモグロビンと同様,アミノ酸のturn-overさえしないとされている。しかし,単に多量のヘモグロビンを含む袋というわけではない。多くはないけれども確実に解糖作用は存在している。そしてメトヘモグロビンをヘモグロビンに還元して機能を正常ならしめる作用や,特殊な活性透過性等は,解糖作用によるエネルギー代謝と共軛している。これらの事は広く知られた事実である1)−4)。
赤血球の機能を正常に維持する要件を明らかにすることは,医学的に重要な一つの課題である。従つて,赤血球の燐酸代謝を明らかにする事は,単にエネルギー代謝全体に対する重要な見通しをあたえると云うにとどまらず,医学的な見地から特に重要な事になつてくる。その為古くからこの問題は興味をもたれてきたが,方法の不備の故に,系統的な観察は少なかつた。
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