学会記
第35回 日本生理学会総会記
佐藤 昌康
1
1熊本大学医学部生理学教室
pp.293
発行日 1958年8月15日
Published Date 1958/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906032
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本年度の生理学会総会は5月3,4,5日の3日間,金沢大学医学部において行われた。演題数が400の多数に汎る為A(条件反射,脳,脊髄,筋),B(神経筋接合部,筋化学,興奮の機序,末梢及び自律神経),C(口腔,呼吸,体温,汗,体力,酵素,代謝),D(内分泌,消化,循環),E(細胞,血液,感覚)の5会場に分れて行われたが,限られた日数で400題もの多数の演題を消化することは止むをえないことと考えられる。研究者が増して一般に自然科学が進歩し精細化するに伴い演題の数が増加し,学問がより細かく分科することは致し方のないことであつて,自分の專門外の演題を聴くことはだんだん少くなる傾向にあると思われるが,これは総会以外の機会をまたねばならないであろう。此の学会の新しい試みとして一つの演題の講演時間を10分質疑応答の時間を5分にとり,正確な時間表で学会を運営したが,これは当然試みるべきことが行われたという外はない。しかし,或る演者によつては15分の時間をフルに用いるため質疑応答の時間がなく,あとであまつた時間をそれにあてるとしても何となしに気分抜けがして質問が活溌に行われぬということがあつたようであつて,将来再び同様な企画で学会を行う場合当然考えねばならないことである。第2の試みとして昨年に引きつづき,少壮の教授,助教授に座長を依頼する傾向にあるようであるが,この試みも再考してみるべきであろう。
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