学会展望
第5回脈管学会総会印象記
林 四郎
1
1東京大学医学部石川外科
pp.397-398
発行日 1965年5月15日
Published Date 1965/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201452
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日本脈管学会の西丸和義会長がいつも強調されているように,循環器系に関する研究はじゅうらいから心臓に主眼がそそがれ,血管,組織間,リンパ管の総合的な研究はなかなか発展しないままに長年月をへてきた。ところが最近になって脈管学の重要性が認識され,欧米と期を同じくして,昭和35年に日本脈管学会が設立され,基礎,臨床医学の各分野の人達ばかりでなく,他学部の研究者もこれに加わって,共通の場で討論することができるようになった。本会創設当初は一般演題の応募も少なく,シンポジウム,特別講演を含めて会期も1日であったが,会員数も800名に達し,昨年9月19,20日の両日仙台市で東北大学教授中村隆会頭のもとに,開かれた第5回総会は特別講演2,シンポジウム2,一般演題98におよぶ盛大な学会となった。
本総会では東大木本誠二教授の「血管外秋の近年における進歩」と中村会頭の「脈管臓器特異性」と二つの特別講演が行なわれたが,いずれも長年月にわたる膨大な研究の成果をまとめられたものである。木本教授はわれわれの記憶に今でも新たなアルコール内保存動脈移植法の開発から現在の人工血管移値にいたるまで,血管外科の歩みとその間の苦労に触れられ,中村会頭は心,肺,肝,腎などにおける機能的特異性が脈管の構造的,機能的な特異性とどんな関連をもっているか,病的状態の下でどのような適応を示しているかを説き示された。
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