動き
「第1B回日本神経心理学会総会」印象記
伊藤 皇一
1
,
田辺 敬貴
2
1小曽根病院精神神経科
2大阪大学健康体育部
pp.220
発行日 1995年2月15日
Published Date 1995/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903830
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第18回日本神経心理学会総会は,埼玉医大久保浩一教授の会長のもとに,1994年9月29,30日の両日,川越市市民会館で開催された。会長講演,特別講演,シンポジウム,教育講演,122題の一般演題など,盛り沢山の内容で,あいにくの台風接近のため天気はぐずつき気味であったが,500余名の多数の参加者に恵まれ,活発な討論が行われた。
久保教授は半側空間無視の研究では我が国の第一人者である。したがって,会長講演では,「半側空間無視の病巣部位とメカニズム仮説」と題して,半側空間無視の説明仮説の主流であるHeilmanら一派やMesulamら一派の仮説を中心に主な説明仮説について,自験例の詳細な観察と病巣部位の検討から,それらの妥当性を丹念に見直し論じられた。わずか30分の間に広範な説明仮説の歴史的流れを要領よくまとめられた点も魅力的であった。特別講演は,杉下守弘教授(東大音声研)による「神経心理学の研究法 今後の発展に向けて」であり,この領域の研究法の問題点について指摘されたが,司会の豊倉康夫氏(東京都老人医療センター)が,神経心理学は脳と心の関連を究明する学問領域であると付言されたのは非常に印象的であった。
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